【新潟大学創生学部①】卒業式の代表を務めました

 2021年3月23日(火)、令和2年度新潟大学卒業式にて、卒業生代表を務めました。正直私が代表にふさわしいか最後まで不安でしたが、私を成長させてくださいました新潟大学に感謝をこめて、答辞*を読み上げました。

 本年度は、例年のように朱鷺メッセでの挙行は叶いませんでしたが、代わりにライブ配信にて開催されました。答辞自体も、3月10日(水)に新潟大学中央図書館ライブラリーホールで前撮りしたものを放映するという、これまでにない形式でした。

収録前の一枚:指導教員(小路晋作准教授)の実験室で

収録後の一枚:新潟大学中央図書館ライブラリーホールで


 最後の最後まで予測できないことばかりでしたが(鳴海敬倫創生学部長と小路晋作准教授に収録にお越しいただいたこと、人生初の化粧をしてもらったことも想定外の出来事でした...)、今後も想定外を楽しめたらと思います。大学4年間の経験をこれからの人生の糧にします。


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*答辞全文(PDF

答辞

 厳しい冬に堪え忍んで開花した雪椿が、春の日差しに映える季節となりました。

 本日は、朱鷺メッセでの対面による式典は叶いませんでしたが、私たちのために配信により式典を挙行していただいたことに、卒業生を代表して御礼申し上げます。ただいま牛木学長より激励の言葉を賜りました。新潟大学で得た知識や経験を糧に、自己実現を果たしていくことを改めて決意いたしました。

 本日に至るまでの日々は、大変予測し難い出来事ばかりでした。2011年3月11日、私は中学校の卒業式の帰りに東日本大震災の被害に遭いました。原発事故の影響で、日常生活を送るのが困難な日々が続きました。震災から10年。私たちは、災害という脅威にどこまで立ち向かうことができているでしょうか。2020年、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大しました。特に私たちにとっては、学修、研究、就職活動、そして何より人と人との交流という点で、学生生活が制限される場面がいくつもありました。私たちは、ウイルスという脅威にどこまで立ち向かうことができているでしょうか。

 私にとっては、2017年の大学入試から、現在の研究分野の選択まで予測し難いことの連続でした。私は文系学部への進学を志望していましたが、受験勉強を進めるうちに、興味を抱いた生物学を学びたいと考えました。しかし文系から理系に転じるには時は遅く、センター試験間近でした。私はそれでも自分に嘘をつきたくありませんでした。そこで大学から理系の分野を学べないかと考えました。新潟大学創生学部は、受験時の文理選択によらず、大学から興味に応じた分野の履修が可能であることを知りました。私は、急遽進路を文学部から創生学部へ変更しました。さらに現在では、学部の演習で知った、蛋白質代謝学、臨床腫瘍学に関連する研究を行っています。私は文学部を志望していた当時、現在の研究分野に携わることを予測できていたでしょうか。

 この世界はきっと、予測が困難なことばかりだと思います。明日は大きな困難が待っているかもしれません。大きな失敗をしてしまうかもしれません。しかし、それを絶望と捉えるか深みのある人生の1ページと捉えるか、あるいは、失敗と捉えるか成功への一歩と捉えるかによって、その後の結果が大きく変わると思います。私は研究を続けて参ります。研究でも期待した結果が得られない場合がよくあります。私はそのときに落ち込まないようにします。大きな発見の入り口にいるのかもしれないと、楽観的に考えるようにします。

 こうした考え方は、創生学部で醸成されました。創生学部は、37年ぶりに新設された学部で、社会課題を念頭に置いた学修、文理に縛られない学修に特徴があります。私はこれに加えて、多くの分野の先生方、学生と議論できたことが大変有意義でした。さらに私は理学を中心に学修しました。これにより、社会課題を念頭に置いた応用研究だけでなく、すぐに役に立つかはわかりませんが、知的好奇心や学問的価値という観点から重要な基礎研究の意義も理解することができました。私は今後基礎研究に従事します。その時に、どのように応用研究に結び付けられるかも考えるようにします。俯瞰的にものごとの立ち位置を理解しようとするようになったことが、私の創生学部生としての到達地点でした。

 創生学部での4年間も予測し難いことばかりでしたが、微力ながら1期生として後輩のモデルになれていれば幸いです。私たちはこのように、先の見えない明日を一歩ずつ進んでいく必要があります。しかし私たちの一歩は、後に続く者の道しるべとなります。自分の決めた道を信じて、他者を魅了する一歩を踏みしめて参ります。

 最後になりますが、鳴海敬倫創生学部長をはじめ、ご指導を賜りました先生方、学生生活を支えてくださいましたすべての皆さまに御礼申し上げます。そして何より、私の進む道を見守ってくれた両親に、心より感謝します。皆さまのご多幸と、新潟大学のさらなる発展を願い、答辞といたします。

令和3年3月23日

卒業生代表

創生学部創生学修課程 騎西健太

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ざくざくごはん騎西健太 #5